『ショコラ〜maid cafe "curio"〜』 (アルケミスト,ASIN:B0000DZ0UZ)

「香奈子さんは思い出の宝石箱。お前は手元に置いとく道具箱」
「どっちが俺にとって必要か…分かるよな?」

テキストが洗練されている.そんな印象を受けた.
このゲームの場合,画面下のウィンドウに表示できる文章は一度に三行まで.この手のゲームだったら大抵はこんなものだろう.最大でも三行で改ページさせなければならないわけで,そこをきちんと考慮しないとテンポよく読める作品にならない.文章を追いかけるのがひたすらにかったるかったり,下手すると「シナリオはいいのにテキストは駄目」といった不遇の作品になっちゃったりする.
その点をシナリオの丸戸史明氏は理解したうえで,三行ぶつ切りを逆手に取ったような表現を随所で展開している.「萌え〜」とか言う前に感動した.単体で見れば陳腐になるであろう台詞を流れの中でさらりと使いこなせるあたり,センスのよさもかなりのもの.シナリオ自体はどっちかといえばベタなのにテキストで大化けしてる.おそらく非常に稀有な例.

「駄目って言ったら、無理やりして。
嫌って言ったら、強引にして。
お願いって言ったら……優しくして」

不満点は,音関係(特にSE)がしょぼいこと,誤字脱字が多いこと,くらい.Windows版(戯画,ASIN:B00008K7EY)で不評だったシステム面も改善されており,キャラ別ルートに入れば一直線に進めるようになっているのでほとんどストレス無くプレイできるのではなかろうかと.各キャラともバッドエンドを見ないとトゥルーエンドに辿り着けない仕様になっているのは個人的にはとっても親切だと思ったけども,人によっては鬱陶しく感じるかも.
というわけで大推薦です.ギャルゲーに心理的抵抗が無ければ,是非.