駱駝 『俺を好きなのはお前だけかよ』 (電撃文庫)

俺を好きなのはお前だけかよ (電撃文庫)

俺を好きなのはお前だけかよ (電撃文庫)

……何? 最初と自己紹介が違う?

あんなん嘘だよ。嘘。ああやって紹介しとかねぇと、こっちにも色々あるんだ。

だって、ああしないと嫌われるかもしれないじゃん? 主に……読者さんとかに。

それって怖いし……ねぇ?

クールな美人のコスモス先輩,かわいい幼馴染のひまわり.ふたりからそれぞれの呼び出しにウキウキして出向いたジョーロ君こと「僕」への告白.それは,親友のサンちゃんとの仲を取り持ってほしいとのことだった.一方で,そんな「僕」は地味メガネの図書委員パンジーにストーキングを受けていた.

第22回電撃小説大賞金賞受賞のドタバタラブコメ.三角関係四角関係のこじれやよじれといった王道のラブコメを,当事者であり,傍観者でもある主人公がテンション高めに語ってゆく.完璧だと思っていた女の子たちが,恋に落ちて変わったり,いろいろダメになったりしていく姿を,メタな視点を交えて描いていくのがうまいと思う.浮き沈みの激しくテンポの良いストーリーが楽しい.傍観者のつもりでいたら巻き込まれている,というジョーロ君の心境に気持ちが引きずられた.なんだかんだとみんないいやつだし,ご都合主義に収まるところも含めて,本当に良いラブコメだと思います.ずっと積んでいて申し訳なかった.続き読みます.

水沢夢 『俺、ツインテールになります。14』 (ガガガ文庫)

俺、ツインテールになります。 14 (ガガガ文庫)

俺、ツインテールになります。 14 (ガガガ文庫)

エレメリアンにとって本当の神は、神話に名を連ねる聖者たちではない。創造主である、人間なのだから。

アルティメギルの侵攻も一段落し,落ち着いた年末年始を迎えた総二たち.その一方で暗躍するマーメイドギルディ.そしてアルティメギルの首領がとうとうそのベールを脱ぐ.

ツインテールとポニーテールの決着,そして黒幕の正体が明かされる14巻.ライバルとの決着と別れ,ずっとはぐらかしてきた首領の正体と展開は熱いのだけど,流石に引き伸ばしが気になる.いやまあ今さらなんだけど.ここまで追いかけてきたからには最後まで追いかけますことよ.

ツカサ 『銃皇無尽のファフニールEX インフィニティ・ワールド』 (講談社ラノベ文庫)

銃皇無尽のファフニールEX インフィニティ・ワールド (講談社ラノベ文庫)

銃皇無尽のファフニールEX インフィニティ・ワールド (講談社ラノベ文庫)

「だって……最初の恋は、現実でしたいから」

頬を染め、恥ずかしそうに答えるフィリル。

「フィリルさんにも――純粋な部分が残っていたんですね」

十五巻で完結した「銃皇無尽のファフニール」の書き下ろしに加えて,店舗特典,アニメの特典など,すべてを収録した番外ショートストーリー集.売れるものは全部売ろうという強い気持ちを感じる.

1~4ページ程度のおまけストーリーが大半なので,内容的には毒にも薬にもならないものだけど,巻末にまとめられた初出が圧巻.2ページにも渡って,ちゃんとまとめて載せているのは偉いと思う.店舗特典なのに連載小説のようにまとまっている「ブリュンヒルデ・ゲーマーズ」がちょっと楽しかったかな.お疲れ様でした.

ツカサ 『お兄ちゃん……ここでなら、好きって言ってもいいんだよね? 第三世界の兄妹神話』 (MF文庫J)

でも俺に抱きついてきたルリの笑顔と、瞳から零れ落ちた涙を見て、悟る。

この瞬間、“ここ”は彼女にとって現実以上の場所になったのだと。

両親の離婚によって離れ離れになった兄トオヤと妹ルリ.別れて暮らすようになってもフルダイブゲーム『カオティック・フレイム』を通じて会っていたふたりだったが,ゲーム内での事件をきっかけにトオヤはログインすることがなくなってしまった.それから時は経ち,ふたりは現実ではないどこかの世界で1年ぶりに再会する.

現実でもゲーム世界でもない,今まさに生まれようとする第三の世界と,そこに立ち会い神話に参加する羽目になった兄妹の話.タイトルの時点でわかるとおり,ハーレムコメディ寄り.オンラインゲームものとしてもハーレムものとしても無難にまとまっているけど,第三世界の誕生という面白そうなテーマが活かされているかというと微妙かなあ.

酒井田寛太郎 『ジャナ研の憂鬱な事件簿3』 (ガガガ文庫)

ジャナ研の憂鬱な事件簿 3 (ガガガ文庫)

ジャナ研の憂鬱な事件簿 3 (ガガガ文庫)

「俺ができるのは、せいぜい、推理することぐらいです」

啓介は自嘲のつもりで言った。

しかし真冬は、まっすぐに啓介の目を見て、「いいえ」と返した。

「その推理のおかげで……私たちは、道を拓けたのです」

曽祖父が遺した自画像に隠された秘密を探る「自画像・メロス」.祭りの夜に森に浮かんだ「鬼の貌」の正体.小学生のころに感じた恐怖心の理由を探る「怖いもの」.海新高校ジャーナリズム研究会,略してジャナ研の啓介と真冬が遭遇した日常の謎短篇を三本収録した青春ミステリの第三巻.今回は短篇ごとに自作解題もついていて,今まで以上に創元推理文庫っぽさを増していると思う.嫉妬や欲望といった後ろ暗い気持ちを掘り起こしてゆく,「憂鬱」な小説であることは変わらないのだけど,そこに伴う気持ちには少しずつ変化が起こっているのかな.引き続き追いかけたい所存です.