「っていうか、なんすか、全裸の勇者って! おかしいでしょ」
「あくまでも異名よ。よく見て、正確には靴下だけ履いているから」
……本当だ! イブリルの言うとおり、よく見るとドナは靴下だけ履いている!
「だから、なんなんですかっ!」
アルスローン派のシスター・ソフィアたちは、パトロンのウルスラ伯にカリーナ王女を紹介され引き合わせられる。正教会に実質的に支配された王国に危機を抱く王女は、成人前の最後の休暇を、ソフィアたち邪教徒と行動をともにすることに選ぶ。正教会と邪教ことアルスローン派は、ともに失踪した女神アスタルテの行方を追っていた。
失踪した女神の姿を求めて「歪みのダンジョン」に挑む邪教徒たち、迫る全裸の勇者、不在の神と邪教のシスターの関係について。ベースはコメディなんだけど、ストーリーは思いのほか本格ダークファンタジーになってきた。作中で肌色が出ている時間がライトノベル史上でも稀に見る長さだと思うんだけど、そういうところも含めて、むしろギャグと肌色とシリアスがちょうどいいバランスになっているんじゃなかろうか。作者の今までのファンタジーと比べても完成度が一歩抜けていると感じています。