確かに死者の思いは残る。
意志は消えない、遺志は死なない。でも。
「そうして死者が残した遺志を、自分だけが継げるものと思い込み、必死に自分を騙して生きていく。残された人間にできるのはそれだけだ、そこまでだ」
それ以上は踏み込んではいけない。禁忌に触れてはいけない。そこに触れた者は、必ず代償を払わなければいけない。
だがそれはつまり、俺自身のことでもあった。
《大災厄》による世界崩壊を食い止めたふたりの名探偵とひとりの助手は、《連邦政府》から新たな《世界の危機》である《調律者狩り》の存在を告げられる。容疑者として名前が上がったのは、彼らにとって忘れがたいひとりの少女だった。
世界の敵となったのは、死んだはずのひとりの少女と、ひとりの男だった。新章開幕となる12巻。