2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

伏見七尾 『獄門撫子此処ニ在リ』 (ガガガ文庫)

獄門撫子此処ニ在リ 獄門撫子此処ニ有リ (ガガガ文庫)作者:伏見七尾小学館Amazon ――わたしが始めて見たものは、荼毘の炎でありました。――骸燃やす火の色を、わたしは何故だか覚えてる。 獄卒の血を引き、鬼を喰らって生きる「獄門家」の末裔、獄門撫子。無耶…

四季大雅 『バスタブで暮らす』 (ガガガ文庫)

バスタブで暮らす (ガガガ文庫)作者:四季大雅小学館Amazon そのとき、漠然としていた、人間に対する違和感が、ひとつの言葉に結晶した。すなわち――。人間は、テンションが高すぎる。 小さく生まれて小さく育ち、常にテンションが低い少女だった磯原めだか。…

新馬場新 『沈没船で眠りたい』 (双葉社)

沈没船で眠りたい作者:新馬場新双葉社Amazon 千鶴はいつしか地面に転がる腕や足首を見ても、なんとも思わなくなっていた。むしろそれが当然だと考えるようになった。機械は自分たちの生活からたしかに何かを掠め盗っている。以前はしなかった、そうした考え…

瘤久保慎司 『錆喰いビスコ9 我の星、梵の星』 (電撃文庫)

錆喰いビスコ9 我の星、梵の星 (電撃文庫)作者:瘤久保 慎司,mochaKADOKAWAAmazon 「いまだに納得いかねえぜ。見ろ、狂犬じみたこのツラの、どこが俺なんだ!? こんなのが世の中に放たれてみろ。法も平和もあったもんじゃね~」「あんた鏡見たことないの?」 …

五月雨きょうすけ 『クセつよ異種族で行列ができる結婚相談所2 ~ダークエルフ先輩の寿退社とスキャンダル~』 (電撃文庫)

クセつよ異種族で行列ができる結婚相談所2 ~ダークエルフ先輩の寿退社とスキャンダル~ (電撃文庫)作者:五月雨 きょうすけKADOKAWAAmazon 「カメラによって我らの価値観は一変する。天才画家が描いた精緻な絵画よりも真に近い……いや、真実を写し出す! カメラ…

東崎惟子 『クリムヒルトとブリュンヒルド』 (電撃文庫)

クリムヒルトとブリュンヒルド 竜殺しのブリュンヒルド (電撃文庫)作者:東崎 惟子KADOKAWAAmazon その後、クリムヒルトは暗君の誹りを受けながら王国の統治を行うことになる。彼女は生涯をかけて、王国の繁栄に尽くしたがその慈しみが民に伝わることはなかっ…

倉田タカシ 『あなたは月面に倒れている』 (創元日本SF叢書)

あなたは月面に倒れている (創元日本SF叢書)作者:倉田 タカシ東京創元社Amazon あれほどの豊かさが、実は参加者の等質性によって支えられていたという認識は、わたしの世界を底からひっくり返した。あの心地よさの根底にあったのは、差異を受け入れる包容…

榛名丼 『レプリカだって、恋をする。2』 (電撃文庫)

レプリカだって、恋をする。2 (電撃文庫)作者:榛名丼KADOKAWAAmazon この季節は、私の好きな人と同じ名前をしている。そのせいか、昨年よりもずっと、私は秋が好きになってしまったように思う。 「レプリカ」とは、オリジナルがやりたくないことを押し付け…

悠木りん 『星美くんのプロデュースvol.2 ギャルが似合わない服を着てもいいですか?』 (ガガガ文庫)

星美くんのプロデュース vol.2 ~ギャルが似合わない服を着てもいいですか?~ (ガガガ文庫)作者:悠木りん小学館Amazon これまで、『自分に似合う服』が好きで――そういう基準で服を選んできた結果今のファッションになったという伊武が、折戸のために自…

詠井晴佳 『いつか憧れたキャラクターは現在使われておりません。』 (ガガガ文庫)

いつか憧れたキャラクターは現在使われておりません。 (ガガガ文庫 ガよ 3-1)作者:詠井 晴佳小学館Amazon 学校が人体なら、きっとここは腎臓だろう。身体中の悪いものを一手に押し込めて、それから、排出する準備をしてやがるのだ。 19歳の専門学校生、七曲…

古河絶水 『かくて謀反の冬は去り』 (ガガガ文庫)

かくて謀反の冬は去り (ガガガ文庫)作者:古河絶水小学館Amazon 「本当に馬に乗れるとはな」馬の口取りを無理やりかって出た荒良女が言う。「昔、王都の民に戯れ歌が流行った。『馬に乗れぬ王子』。悔しくて練習したよ」「いい話じゃないか」「そうしたら、歌…

小田雅久仁 『禍』 (新潮社)

禍作者:小田雅久仁新潮社Amazon 「――そもそも言葉は嘘をつくために生まれたのです。真実を殺すために生まれたのです。一切の言葉は嘘であり、嘘は真実を噛み砕きながら歩を進め、その嘘の群れが通り過ぎたあとに、つまり見わたすかぎりの真実の死骸の上に、…