深沢仁 『英国幻視の少年たち3 グリム・リーパー』 (ポプラ文庫ピュアフル)

「ランスのピアノは、ランスみたいな音がする」
「どんな?」
「ちょっと寂しくて、ちょっと投げやりで、ちゃんと精確で、ほんとは優しい」
「……なるほど」

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「泣いてもいいのは当たり前だ」ランスは答える。「泣かなくてもいい。それだけだ」
不意を突かれた。

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カイ・ミナガワとランス・ファーロングは,英国特別幻想取締報告局に呼ばれ半強制的にロンドンに滞在することになる.ふたりは姿を消した美柴の行方を探し,ゴーストたちのパーティに参加する.そこでふたりは,ゴーストを襲う“死神”の噂を耳にする.
舞台は田舎のファーロングから大都会ロンドンへ.陽気で優しいゴーストたちが印象的なシリーズ三巻.意地悪だったり,何を考えているのかわかりにくい愛すべき人物たちがさらに次々と出てくる.素直じゃないままお互いを気づかうカイとランスの関係もほんとうに良い.テキストのそっけなさまで愛おしく思えてくる.もっと幅広い層に読まれていい,本当に作品だと思うのです.