- 作者: ナカオカガク,烏羽雨
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/06/02
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「一緒に逃げる。わたしもできる限りあなたを守るから」
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エコーはじれったそうに顔をゆがめた。
「タンゴ、我儘言ってる場合じゃ……」
「一緒に。約束だから。約束したから」
第 6 回 BOX-AiR新人賞受賞の「スタイリッシュ SF アクション」.少女と銃と,妄想を現実化,あるいは現実を妄想化するという能力を軸に,「いつの間にか増えていた死者」を追ってゆく.妄想というより悪夢というほうがよりそれらしいかな.大枠では大きな組織・社会と,それに取り込まれる・抗う子どもという図式が,やがて破滅につながる.字面だけなら似た話はいろいろあるけども,実際に読んでみるとかなりドライで冷たい印象を受ける.能力に必要以上の派手さがなく,風景(中盤のある施設)にも非人間的な冷たさが強く押し出されているからかな.ひとことではなかなか言い表しにくい,複雑で苦い後味の物語でした.