ハセガワケイスケ 『しにがみのバラッド。』 (電撃文庫,ISBN:4840223939)

小説というより散文詩みたいな文章が鼻について仕方ない.出てくる人物も自分勝手なやつばかりで感情移入できない.
というのが最初の何ページか読んでの印象だったんだけど.
読み終えた今では「むしろ,それがいい」と自信を持って言える.
テーマに「死」を絡めつつ物語は比較的淡々と進む.大きな何かがあるわけではないのだけれど,人物描写が非常に細やか.ストーリーの運びがうまくて,第一印象「ヤな奴」に物語が終わるころには惚れ込んでいることしばしば.感動したというか驚いた.
ポエジーで改行の多い文体はやっぱり気になったし,ここで人を選びそうだなという気はした.まあそこは好みの問題かと.