飛浩隆 『象られた力』 (ハヤカワ文庫JA,ISBN:4150307687)

「夜と泥の」以外は初読.最近はラノベばっかり読んでたおかげで思ったより読了に時間かかった.
収められた4つの中編・短編それぞれ舞台が違うのだけれど,似通った空気が感じられた.これは文章に無駄や遊びがほとんどなく,また何らかの形で「異世界」にリンクする,という点でテーマが統一されているためだと思う.
で,感想.人物がちょっと薄いかなーと.行動原理は理にかなっているし破綻はまったくないけど面白みに欠ける,というか.上で書いた「文章に無駄がない」ことがかえってよくない方向に作用していたかもしれない.総じて,よくまとまった佳品ながらインパクトは小さい,という印象でした.