色川武大 『恐婚』 (文藝春秋)

ISBN:4163078401Amazonでは取り扱ってない様子)
色々あって離婚した筈なのにどうしても離れることが出来ないダメ男とダメ女の話.途中で手癖の悪い家政婦や田舎から出てきたその娘やさらに娘を追いかけて上京してきた男やらが登場して混乱の態を見せる.けどそいつらは添え物.世界はダメ人間二人に収束していく.
頽廃的な空気がそこかしこに充満しておりダメ人間には心地いい.これまただらだらと何となく読んでしまうタイプの小説.別れたあとも,他の男と結婚したあとでさえ理屈をつけてはもとの家に入り浸ろうとするすみ子萌え(え?).実際にこんな女がいたらウザくて仕方ないだろうけど,そう思わせつつも彼女が可愛くみえるのは筆力のなせる業,なのだろうな.志村貴子あたりが漫画化すれば面白いものが出来上がりそうな気がする.
色川武大阿佐田哲也)はこれが初読.坊や哲でナルコレプシーなことくらいしか予備知識は無かったけどこれを読む上ではまったく意味は無かった.