福田政雄 『殿がくる！ 〜京都は燃えているか〜』 （集英社スーパーダッシュ文庫）

殿がくる!―京都は燃えているか (集英社スーパーダッシュ文庫)

「啓蒙小説くさい」と感想書いた小説の続編．本作も歴史解説とか政治シミュレーションとか全体にゆるやか〜な説教くささが蔓延しているのは気のせいじゃないよね．この空気はやっぱり好きになれそうにない．「信長」をテーマにしているわりには政治的駆け引きがケチくさいため，その思いはさらに強く．
私はそのへんは流し読みして，キャラクター小説として読んだ．楽しかった．信長という人物のスケール感はよく出ていると思うし，キャラクターも相変わらず生き生きと良い．ハッとする文章表現が随所にみられたのもよかった．
しかし新キャラの意義はよくわからなかった．眼鏡で委員長ならなんでもいいわけではない．
1巻の感想と似たこと書くけど，作者は人物を描く力は十分に持っていると思うので，キャラクターを中心に据えた小説を書けばかなりいいものが出来上がるんじゃないか，という気がする．