上野遊 『彼女は帰星子女』 (電撃文庫)

彼女は帰星子女 (電撃文庫)

彼女は帰星子女 (電撃文庫)

押し掛け女房はツンデレ宇宙人.この一文があれば,ストーリーについての説明は要らないような,まぁぶっちゃけ単純な話.
文章が丁寧に書かれた印象があり好感が持てる.細かすぎず粗すぎず,あっさりしすぎずくどすぎない,バランスのとれた安心して読めるテキストという感じ.
お約束が連発(しかもそれほどひねっているわけでもなし)するありふれた話なんだけど,その前後関係や背景に手を抜いたところはなく,これまた好感度アップ.ずば抜けてはいないけど,上手い.
ありふれた材料でも丁寧に心を込めて料理すれば,これだけ美味しくなるんだよ,という好例のような作品.どっちかというと職人の仕事というよりお母さんの心配りというか.私にしかわからない例えですか.
ツンデレというタームに反応するひとなら読んでみて損はないと思う.ラブコメのラブ分が増強されることを期待しつつ続編を待ちます.