モブ・ノリオ 『介護入門』 (文藝春秋)

介護入門

介護入門

この作品が芥川賞とって話題になっていた頃,「ラップを意識して韻を踏んだ独特の文体が云々」とかどこかの週刊誌だかの書評で書かれていた記憶があるんだが,YO,俺にはそのあたりはよくわからなかったけど,読みながらだんだんとリズムに乗るような感覚を味わったのは確かだぜ朋輩.
感想の名を借りて,小学生の頃に寝たきりの曾祖母と二人っきりになったときのエピソードをもにゃもにゃと自分語りしようかとも考えたんだけども,気持ちの悪い話になりそうなんでやめときます.多くのひとにとって身近なテーマなだけに,読者から共感を引き出しやすいのかなと思った.まあそんなネガティブで深刻な面もきっちり出しながら,それでいてすごく前向きに生きる主人公の姿がとても貴重に感じられて,なんとなく救われた気分になった.カタルシスとはまた違うのだけれど,なんつーか,良い読後感でした.