フレドリック・ブラウン/星新一訳 『さあ、気ちがいになりなさい』 (早川書房)

本書のことを知ったのはつい最近のこと.ブラウンと星新一の組み合わせを図書館で見つけたときには震えたものだ.
45年前の刊行ということだけど,今読んでも古びた感じがしないのは恐ろしい.シニカルな筆致にも多分にユーモアが含まれていて,現在よく見かける斜に構えただけのひねくれ視線とは一線も二線も画する.
個人的ベストは「おそるべき坊や」かな.日常が非日常を撥ね退ける話の,なんともいえないむず痒さが私は案外好きらしいと再認識した.星新一にも似たタイプのショートショートが多くあったよね.次に好きなのは「沈黙と叫び」.
ブラウンを読んだのはこれが2冊目で学生時代以来か.そのときの感想がこの日記のログに残っていたので読み返してみたらあまりにしょうもない感想でしばらく身悶えた.探すなよ! 探すなよ!