乙一 『平面いぬ。』 (集英社文庫)

平面いぬ。 (集英社文庫)

平面いぬ。 (集英社文庫)

語りのテキストが良い意味で硬い.尋常ではない状況をこの硬いテキストで硬く描くことで読んでいるうちに軽い混乱に陥る.「あれこれは明らかに変だよな,変だよな,……変でもないのかな? いやおかしいよな?」といった感じ.この「混乱している感覚」がなんだかとても楽しかった.淡々と流すでもなく,大げさに描くでもない,難しいことを平然とやってのけている.素晴らしいバランス感覚だと思う.