田口仙年堂 『吉永さん家のガーゴイル2』 (ファミ通文庫)

奇矯なキャラクターを除けば基本はベタな人情ものになるんだろうけど,キャラクターからなにから丁寧に描いていて好感を持てる.しかし百色や梨々,ガーゴイルを差し置いてこの巻でいちばん泣けたのはハミルトンの最後の言葉だったりする.(この巻の)黒幕で同情する余地のぜんぜん無いおっさんが負けて,スカッとする筈の場面なのに.使い古された陳腐な台詞に,単なる台詞のひとつに留まらない重みが宿っていた.良かった.