平山夢明 『独白するユニバーサル横メルカトル』 (光文社)

独白するユニバーサル横メルカトル

独白するユニバーサル横メルカトル

きっかり計算された起承転結と奇妙なアイデアが噛み合った短編らしい短編が詰まった短編集.拷問あり暴力ありカニバリズムありとネタ自体はかなりグロテスクなものが多い.ただ,目的としてのグロではなく,文字通り奇想と呼べるアイデアを語る上での手段として割り切って描写しているような印象を受けた.そのせいか読後感は案外すっきりしている.グロさにうげぇとなるより,アイデアの奇抜さに感心するほうが勝るというか,不思議な感覚.ひとえに語りの上手さに因るところが大きいのか.『Ωの聖餐』の着想と『すまじき熱帯』のしょーも無い(もちろん褒め言葉として)展開が特に好みで良かった.
それにしても書名でググるとこの日記がかなり上位に来る*1のは何故.

*1:2006.12.21現在