深見真 『アフリカン・ゲーム・カートリッジズ』 (角川書店)

アフリカン・ゲーム・カートリッジズ (Next)

アフリカン・ゲーム・カートリッジズ (Next)

角川NEXT賞第一回受賞作.賞の存在は黒歴史扱いされている模様.虚しいねぃ.しかし作品には罪は無い.
「別世界から銃を召喚する能力」,必殺技「セカンド・スキップ」などのオトコノコ向けモチーフといい,小道具として使われるアクション映画のタイトルといい,『疾走する思春期のパラベラム』のアーキタイプというとわかりやすいか.陽性エンターテイメントの雰囲気はこのころからよく出ている.「疾走する〜」が大好きな私がこの作品を嫌いになれるはずも無い.
ストレートで熱すぎる・クサすぎるセリフ,銃器に関する薀蓄の量のバランス,これまたあまりにわかりやすすぎる女性上位世界の描写など,「疾走する〜」に比べると全体的にどこか野暮ったい感じはした.好みが分かれるかもしれないけど,裏に意味を持たせない,ひたすらからっとしたエンターテイメントに徹する一貫した姿勢(これは共通している)は大いに評価できるのではないかと.うん,面白かった.