坂本康弘 『逆境戦隊バツ[×]2』 (ハヤカワ文庫JA)

逆境戦隊バツ「×」〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)

逆境戦隊バツ「×」〈2〉 (ハヤカワ文庫JA)

ほへー.バカ小説を狙っているのは分かっていたけどなんか斜め上に行ってませんかこれ.喩えるならガリ勉の優等生がギャグを徹底的に"勉強"した上で真剣に披露されたお笑い芸というか.基本に忠実なのにやたらしゃっちょこばったぎこちなさがあって,ギャグなのかマジなのか,素直に笑っていいものか,判断に困る部分があちこちにあった.特に 240 ページからラストまでの怒涛の展開は (;´д`)
地の文にも登場人物にもツッコミが不在なことがこの微妙な空間を生み出しているのだろうなぁ.草壁桜くんのいない「ドクロちゃん」を想像してみれば多少分かるかもしれない.
劣等感で変身できる理由がかなり強引なことを除けば設定は面白いものがあったんだけど,この作品の微妙な空気が全体をもにょーんと覆っていたので結果として微妙にしか感じられなかった.普通に書いていれば普通に読める作品になったのにと思うと,惜し……くもないか.