紅玉いづき 『ミミズクと夜の王』 (電撃文庫)

ミミズクと夜の王 (電撃文庫)

ミミズクと夜の王 (電撃文庫)

これは良い.無知ゆえに不幸を感じなかった女の子が沢山のひと(やそれ以外)との出会いによって本当の幸せを知るという,言ってしまえば王道の優しい物語なのに,その過程のあちこちから優しさが染み渡ってくるようで.とにかくミミズクが愛しい.バックグラウンドを必要以上に語らない,本当の悪人を登場させないといった物語のコントロールも上手かったと思う.ラスト,素直な気持ちで涙腺を刺激されてやまなかった.「安い話」大歓迎.広くおすすめしたい一冊.