久住四季 『トリックスターズC PART1』 （電撃文庫）

トリックスターズC〈PART1〉 (電撃文庫)

今回感想をめぐってみてはじめて LOVE寄せなる用語を知った．ひとつ賢くなったよ．
起こっている事件や使われるトリックはいっけん地味なのに，逆にそれが怪しい，何か大きな仕掛けが用意されているに違いないというにおいをぷんぷん感じるのは，冒頭で「騙り手」と紹介される周くんの語りと，それを大仰と感じさせないくらいの作者への信頼があるからかな．
魔学の歴史や魔術で出来ることと出来ないことの線引きもかっきり計算されているため気持ちよく読めるのはいつも通り．「騙り手」の視点が複数グループの間を目まぐるしく移動させ，犯人のみならず探偵役も誰になるのか明示しないという手法も新鮮で良かった（よくある手法なのかも知れんけど，ミステリには疎いもので）．それでいて提示条件は整理されておりリーダビリティが高いのも好印象．
ミステリ要素以外にも伏線がやたら多く，そしてキャラがよく動くので次でどう収束させるのか楽しみでもあり，惜しい気持ちもあり．続きは明日．1ヶ月積んでたおかげでタイムラグなく読める幸運に感謝しつつ今日は寝る．……幸運？