7月1日を繰り返すループものの短編連作.誰かさんも言っていましたが,ループものというと季節は夏,でもって
セカイ系というイメージが強いなあ.この作品もそのあたりを踏襲しているのは一緒.ほかと違うのは,それぞれの登場人物が身に降りかかったループをごく自然に受け入れている,ように見えること.このへん,朝起きたら虫に変身していた
グレゴール・ザムザを連想した.そのため,ループの原因は何か,もとの時間に戻る(もしくは歪みを正す)方法はあるのか,さもなきゃいかに環境に適応するか,てなあたりが焦点に当たりがちなループものとはまた違った味わいがある.つうかループものというよりはループという舞台装置を使った恋愛ものと言った方が正しいかな.仕掛けの使い方は面白いし納得できるものだったと思うけど,ぶっちゃけた話,その舞台装置が必ずしも時間ループである必然性は無いように感じられた.恋愛ものとしては悪くないと思うし,ほとんど触れられなかったループの意味についてもどうなるのか気になる.続きもそのうち読みたい.