森田季節 『封神演戯』 (ダッシュエックス文庫)

封神演戯    (ダッシュエックス文庫)

封神演戯    (ダッシュエックス文庫)

別にたくさんの死者が出るのが道義に悖るとか、非人道的だとか、そんな綺麗事が言いたいわけじゃない。単純に、死人が出るのが気持ち悪いのだ。わざわざ汚物や吐瀉物を見たくないのと同じだ。避けられるなら、避けたいのだ。
けど、これが仙人の仕事なのだ。

封神演戯 (ダッシュエックス文庫) | 森田 季節, むつみまさと |本 | 通販 | Amazon

歴史管理者の組織である崑崙に所属する太公望は,有給を使って部屋に引きこもっていた.20年に渡る有給を使いきった太公望のもとに,師匠である元始天尊からいいかげん働けと召集がかかる.太公望は,仙女妲己にほしいままにされている殷を正しい歴史に導くべく,四不像や楊戩とともに派遣される.
ドキッ! 美少女だらけの封神演義藤崎竜というか安能務というか,「封神演義」のあの感じに,お気楽さと残酷さと甘やかしを同居させた,森田季節らしいアレンジが効いている.まあ正直,ストーリー的な驚きはほとんど無い気もするが.私は藤崎竜版(あとがきでオマージュを明言している)をほんの少ししか読んでなかったので,読んでいるひとと比べると思い入れが違うかもしれないけど.そつのないストーリーテリングですらすら読めるので,オマージュやアレンジの効き具合を見つつ,キャラクター小説として,貧乳ツインテールの楊戩とか,無表情兵器娘の哪吒とかを愛でるのも良いかもしれない.個人的には体育会系の四不像がかわいくて良かったと思います.