藤谷ある 『ルゥとよゐこの悪党稼業』 (HJ文庫)

ルゥとよゐこの悪党稼業 (HJ文庫)

ルゥとよゐこの悪党稼業 (HJ文庫)

そうだ、そうだった。
僕がこんな目に遭っているのもみんな彼女のせいだった。
そしてこの気持ちも――
この気分をもっと味わっていたい。そう思えるから不思議だ。
一緒に逃げる彼女の表情も必死ながらもどこか楽しげだった。こんな状況でする顔ではない。しかし、だからこそ、僕は本当の意味で足を止められなかったのかもしれない。

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頼まれたら断れない.困っている人がいたら放ってはおけない.お人好しの中学生,花井良児は,路地裏で襲われていた少女を助け出す.実は少女は300年の眠りから覚めた七大悪魔の一柱,傲慢のルゥだった.ルゥに無理やり下僕としての契約を結ばれてしまった良児の明日はどっちだ.
第3回ノベルジャパン大賞大賞受賞作.悪魔少女に振り回されたり実際はそんなに振り回されてなかったりする男の子の話.大賞とは言うものの,どうも小さくまとまっている感がある.話が大きくなるのかと思いきや,数ページ後にあっさりとひっくり返るクライマックスがなんというか.あらすじから想像できる範囲の結末ではあるんだけど,一瞬期待させてくれるところもあったので肩透かしも大きかった.