新城カズマ 『サマー/タイム/トラベラー 1』 (ハヤカワ文庫JA)

ひと夏のなんとやら.青春小説としてはド真ん中の正統派,だと思う.良い.
物語はシニカルな筆致で淡々と進む.1巻では悠有の時間跳躍を除けば(それがでかいんだが)たいしたなにかが起こるわけでもない.けど,あちらこちらに伏線,つか「なにか残酷なことが起こりそうな予感」が散りばめられてて,「夏の空気」と相まってそれだけでなんとも切ない.面白いんだけど,いやーなことが起きそうで,落ち着かない気分に苛まれた.この感覚,秋山瑞人を読むときの心境に近いかも.

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)

サマー/タイム/トラベラー (1) (ハヤカワ文庫JA)