新城カズマ 『星の、バベル』 （ハルキ文庫ヌーヴェルSFシリーズ）

星の、バベル (上) (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)

星の、バベル〈下〉 (ハルキ文庫―ヌーヴェルSFシリーズ)

異星言語SFということは聞いてたけど，それにとどまらず幅広いネタが詰め込まれていて読んでて飽きなかった．並行して描かれる CANTOR の探究とメソネシアの情勢はあっと驚くようなものでは無かったけど，丁寧で掴み取りやすかった．下巻で明かされる CANTOR の正体が良い，というかすごく好き．こういう人にあらず，さりとて神にもあらずっつーのがね．これぞセンス・オブ・ワンダーではありませんか．文明や社会に対するシニカルな視点が『サマー/タイム/トラベラー』に共通するものがある*1かなと思った．ただ個人的にはこちらのほうが入り込みやすかった気がする．面白かった．

*1:ほかに新城カズマを読んだことが無いともいう