野島けんじ 『きゅーきゅーキュート!』 (MF文庫J)

「ふぅ」
「あ,読み終わりましたか.じゃあ感想をお願いします」
「うん.えーと,いまいち,かな」
「いまいち,っと.よくなかったですか」カタカタ
「んー.なーんか強引で置いてけぼりな感じがしたんだよ.プロローグはだーっと言葉で一気に説明しちゃってるし,キュートがクラスに馴染む描写も少なかったし,クライマックスへの伏線もぜんぜん見えなかったしで.設定もどこかで見たようなもので,読者が『ライトノベルとはこういうものだ』ということを理解していることを前提にしたプロット作りをしているような気がした.キャラクターは,これも類型的とはいえ,よかったとは思うんだけど,もっと良い生かし方があったんじゃないかしら,と」
「身も蓋も無いですねぇ」カタカタカタ
「あー,でも」
「でも?」
「散々言っときながらなんだけど,そんな嫌いじゃないんだよな,これ」
「え,なんで?」
「キュートがさ,ことあるごとに鳴くじゃん.『きゅーっ』て」
「鳴きますね……鳴くっていうのかな,あれ」
「あの『きゅーっ』がね,なんかこう,俺の琴線に触れたというか,ツボだったのよ」
「はぁ,嫌なツボですねぇ」
「アニメだか漫画だかゲームだかで似たような鳴き方をするヒロインを見たような,ぼんやりした記憶があるんだよねぇ.それが一種のインプリンティングというか条件反射になってたんだろうねぇ.キュートの『きゅーっ』にキュンッと反応しちゃったわけだよ」
「まさに作者の思うツボですね.つかそれあんたがロリコンなだけなんじゃ」
「うっさい黙れ.まあとにかくだ,改善すべき点は多いけど俺は決して嫌いでは無い.続きが出たら欲しいけどひとには正直薦めづらい.って感じでまとめといてね」
「あーはいはい.しかしいつもながら支離滅裂ですねあんたは」カタカタカタカタ
こんな感じに脳内会話を交わしながら感想を綴る日々なのです.

きゅーきゅーキュート! (MF文庫J)

きゅーきゅーキュート! (MF文庫J)