鋼屋ジン+古橋秀之 『斬魔大聖デモンベイン 軍神強襲』 (スニーカー文庫)

これはすごい.クトゥルー神話を材料にただでさえ好き勝手やっている原作に,更にウェルズとヴェルヌの黎明期 SF のエッセンスを加えてやりたい放題.文字通り絵にも描けないラストバトルを経て,あの結末.震えが来た.とりとめの無いネタを詰め込みながらも,起承転結が非常にスマートで流石と言うしか.
ページ数は少なかったものの,日常部分もきちんと描写していて,なんつうか,「物語世界の空気」みたいなものが感じられるのも良かった.一見してまったく救いの無いようで,ほんのりと希望をにおわせるラストの描き方も素晴らしい.
人物描写が少なめ(2冊目の外伝だからかもしれないけど)なので原作を知らないひとに受けるかはよくわからない*1のだけど,ノベライズに抵抗が無ければ是非.

*1:シスマゲドン」が個人的にいまいちだった経験があるからね