虚淵玄 『Fate/Zero 3 「散りゆく者たち」』 (TYPE-MOON)

Fate/Zero Vol,3 -散りゆく者たち-

Fate/Zero Vol,3 -散りゆく者たち-

3巻まできてもテンションや密度がまったく落ちておらず,最後まで一気に読まされた.以下ネタバレ注意.
並行して進む戦闘と交錯する各者の思惑,そして徐々に削られていく登場人物たち.これぞ手に汗握る群像劇.悲惨なはず,ってかじっさい悲惨なマスター・サーヴァントたちの最期はやけにあっさり風味,どことなくドライに片付けられている印象を受けた.すべてのマスターが知略をつくした魔術ではなく,銃の力で始末されるあたりでドライな印象を加速させていた気がする.良い意味で予想を裏切りつつ,切嗣の人物描写を深化させ(多分また裏切られるんだろうが),「次」への布石とさせることに成功していたと思う.この辺の見せ方は上手いなー.
相変わらずのライダーとウェイバーや,アイリスフィールとのやりとりで「少女」をちらと見せるセイバーには心和まされたものの,そのあとの結末が分かっているだけに複雑な心境にも襲われた.そりゃもうビシバシと.
てことですんげー面白かった.恐らく惨いことになるであろう完結編にも期待せざるを得ない.ってか冬コミで発売かぁ.8月に読めると思ってたから少し肩透かし.まあ,それまで気長に待つことにするよ.ここまで来たら読まずにいることなんか出来そうに無いしさ.