桜庭一樹 『B-EDGE AGE 獅子たちはアリスの庭で』 (富士見ミステリー文庫)

獅子たちはアリスの庭で―B‐EDGE AGE (富士見ミステリー文庫)

獅子たちはアリスの庭で―B‐EDGE AGE (富士見ミステリー文庫)

富士ミスにおける桜庭一樹のデビュー作.天才少年弁護士の活躍する法廷ミステリ.ゼロから足で証拠品を探し,法廷で論理を組み立てつつ戦う一連の流れは『逆転裁判』シリーズを髣髴とさせる.といってもミステリとしてはかなり大味,かつミツルギとイトノコ刑事に対応するのがそれぞれ人物的な魅力に乏しい鼻持ちならないエリート検事と高慢ちきな女刑事とあって,物語としての魅力も引けをとる.裁判には勝利しつつもすっきりとしたカタルシス描写も少なく,結末もなんとなくもやっとしていた.
それにしても登場人物が揃いも揃ってやたら漫画チックで自己主張がキツく,ライトノベルとしても不自然極まりないんだけど,そこに却って興味を引かれた.どことなくゲームシナリオ的手法をそのまま小説に持ち込んでキャラクターを描いている印象を受けたんだけどあってるかな.山田桜丸のシナリオは読んだこと無いから単に力量が足りなかっただけなのか判断が付きかねるのよね.