北野勇作 『恐怖記録器《フライトレコーダー》』 (角川ホラー文庫)

タイトルは "flight recorder" と "fright recorder" をかけたダジャレ.夢と現と時系列がもやっと入り混じる中で組み立てられるお話は良くも悪くもいつも通りの北野勇作.どろどろぬちゃぬちゃしたいかにもホラーっぽい描写はホラー文庫の既刊二冊より多め? そのせいかもやりながらも即物的な印象もある.夢⇔脳⇔現実の関係の講釈が冒頭から始まり,いきなりネタ開陳から入るのかと思ったら後半に変なもんが登場した.うひゃぁ.でも北野勇作だから何が出てきてもおかしくはないわなあ.くらいの感慨.北野勇作は同じ手法を使うんだったらホラーよりもファンタジーや SF を(ブラック)ユーモアと交えて書いたほうがずっと面白い.てことを今回読んで実感した次第.『昔、火星のあった場所』,『クラゲの海に浮かぶ舟』,『かめくん』みたいなのをいつかまた読みたいのです.どうか平に平に.