『潮風の消える海に』 (light)

潮風の消える海に

潮風の消える海に

シナリオ:早狩武志,原画:ぽよよん♥ろっくのビジュアルノベル.場所は鶴見線沿線の工業地帯,時期は夏.海芝浦駅でたまたま出会った二人の少年がはじめた突拍子もない計画からはじまる三年間の夏の物語.話自体はなんでもない,それでいて悩み多き「青春」もの.土曜 22 時あたりにやっていてもおかしくない.勝手に思い込んでひとりで悩んで,やがて自分の周りのひとたちの存在に気づく,という使い古されたテンプレを男女二人とその両親,友人という最低限の人数でじくじくほじくり出す.三年で違った姿を見せるただひとりのヒロイン(選択肢は存在しない)と思いを通い合わせたあとのバカップルぷりの描き方はただただ恥ずかしい.ニヤケるとか死にたくなるとかむしろ氏ねとかいうのとはまた別の感覚.なんだろね.くすぐったい.いくらかおっさん的視点に立った感想だと思うけど,絵に描いたような暑苦しいハッピーエンドも良かった.世界の中心は僕たち,的な導入で序盤はどうかと思ったけど非常に良い青春ものでした.