- 作者: アーサー C.クラーク,平井イサク
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1980/08
- メディア: 文庫
- 購入: 3人 クリック: 37回
- この商品を含むブログ (33件) を見る
1953 〜 1957 年にかけて書かれた連作短編集.常連のハリー・パーヴィスの口から語られる軽快なほら話はくすっとするような他愛ない戯言あり,荒唐無稽でくだらねー,まさに大ぼらあり,ぞくっとくるようなアイデアありとバラエティ豊か.ウラニウムを満載したトラックが事故を起こした! かと思いきやまさかの脱力オチ「臨界量」.触手ウネウネの巨大人喰い蘭登場,「尻ごみする蘭」.南の環礁に住まい,地球上に不在の「人類のライヴァル」を育てるマッドサイエンティストの物語「隣りの人は何する人ぞ」.上記 3 パターンの典型になるこの三編が特に良かった.
騒がしい酒場で語られる話なだけあって全体的に陽気,古びた感じのしないアイデアも分かりやすく,気軽に読めて短編によっては余韻も残る.酒場に集まる人々もユーモラスに人間くさく描かれていて雰囲気がすごくいい.ハリウッドが好事家に軽んじられるのもトンデモさんがウザいのも 50 年前から変わらないのな.時代を超えた親近感を覚えた.