小仙波貴幸 『鬼灰買いの佐平治 数えで十七、水の衣を織り成して千歳の綾を解きほぐす』 (講談社BOX)

鬼灰買いの佐平治 数えで十七、水の衣を織り成して千歳の綾を解きほぐす (講談社BOX)

鬼灰買いの佐平治 数えで十七、水の衣を織り成して千歳の綾を解きほぐす (講談社BOX)

時は 21 世紀の東京.日陰に暗躍する鬼を殲滅する役目を負った「悪鬼改方」と,斬られた鬼の灰を始末する「鬼灰買い」は,江戸の昔から今も密かに存在し,その役目を全うしていた.
現代伝奇もの,になるのかな.時代がかった口調の鬼灰買いの少年と,鬼斬り役のロリ婆(体格の問題で自分で刀を抜けないので,刀を抜き差しする従者を付き従えている).アイデアは面白いけど粗もかなり多い.シンプルな話運びはともかく,雰囲気作りと理屈付け(あるいはハッタリやホラ)が弱いのがなにより厳しすぎる.本編で目立つのはその名前とどこかで聞いた設定ばかり,話のほうはまったく膨らんでいないという.プロローグは雰囲気があって良かったんだけど,これではなぁ.