陸凡鳥 『七歳美郁と虚構の王1999』 (ガガガ文庫)

七歳美郁と虚構の王1999 (ガガガ文庫)

七歳美郁と虚構の王1999 (ガガガ文庫)

「さあ、聴き込み開始です! ここから名探偵、九重白雪の伝説が始まる!」
「あらゆる意味で面倒くさい」

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1999 年 12 月 31 日 23 時 59 分,全世界で 1999 人の人間が殺害された同時多発テロ《拡大人的破壊》.物語の発端であるこの事件の真相.なぜ惨劇は起こされなければならなかったのか.
はじまりにして回答編でもある過去編.天才女子中学生探偵だった九重白雪が世界を変えるため,すべての黒幕へと転じるまでのなんやかんや.物語は刹那的な格好良さをひたすら勢いで継いだような感じで,その勢いは後半に進むに連れてどんどん加速.つられて一気に読んでしまった.「共通意識」*1の存在やら美日月の死の意味するところやら,ちょっと考えただけで「?」な部分も多いっちゃ多いんだけど,承知の上で重ねられる無茶の洪水のなかでは気にならないというか許せるというかもっとやれという気分になる.だって両手に巨大虎鋏を装着した女子中学生暗殺者とか,次々と殺されていく名前だけの権力者たち・暗殺者たちとか,「世界最強の暗殺者」とか,格好良すぎるじゃない.すんげー楽しかったです.

*1:自意識を持った集合的無意識のようなもの,というか神のようなもの