- 作者: 遠藤 徹
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2011/05/25
- メディア: 文庫
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翼を折りたたんだ黒い猫が、物憂げに丸くなって乗っている。
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「おれたちの復讐の念は食われてしまうのだろうか」
片手を伸ばして若き大臣は、黒い毛皮を撫でる。
「希望とやらいうものに」
殲滅歴一年.戦争大臣シドに率いられた国家Jは,ついに大国
ふたつの世界を超えて,復讐と怨念は昏く燃え.隔月刊行シリーズの完結編.現代の日本と,戦争大臣のいる国家Jの関係が明らかにされる.すとんと落ちて,気持ち悪い余韻を残すラストはまさに「終わりの始まり」を予感させるもの.しかし,「復讐」によって成り立っていた世界に,実は介在するものがいてムニャムニャ,というクライマックスはちと焦点がぼやけていた気がしたのだよな.人間の復讐譚なのか,幻想の物語なのか,どっちなの,と読んでて思った.あっさりと完結してしまった印象も拭えないしなぁ.