深見真 『ウェットワークス・ドーベルマン』 (朝日ノベルズ)

ウェットワークス・ドーベルマン (朝日ノベルズ)

ウェットワークス・ドーベルマン (朝日ノベルズ)

これは架空の一九三〇年代世界を描く物語である。しかし、我々がよく知る現実の歴史をまったく無視するわけでもない。太平洋戦争は起きてしまうし、そして日本は敗北する。

Amazon CAPTCHA

太平洋戦争の開戦を目前にした昭和一×年.銀座二丁目にあるカフェ「汚れ仕事の番犬」には,四人の賞金稼ぎがいた.ある晩の仕事のさなか,さらわれそうになっていた少女を助ける.その少女,御手洗椎奈は成り行きで「汚れ仕事の番犬」に住むことになるが.
コンセプトは『特攻野郎Aチーム』(でも最終的に「全然違うものになった」)という,昭和初期の賞金稼ぎ四人組と少女の話.キーになるのは,白系ロシア人の母を持ち,各組織から狙われる少女.……しかしその「狙われる理由」には正直ずっこけた.白系ロシア関係ない! いやあるのか? どっちにしろ唐突すぎる! という脳内ノリツッコミが繰り広げられた.あとはアクションシーンあり,武術や銃に関する蘊蓄あり,定番の拷問シーンあり.不慣れな拷問吏という,作者にしては珍しいものを読めるのだけど,どっちかというと微妙かなあと.