ツカサ 『国家魔導最終兵器少女アーク・ロウ2』 (富士見ファンタジア文庫)

「ああ、難しくて複雑だ。“群弓(アローズ)”はたぶん不満を持つ下級労働者たちが作った組織なんだろうが、彼ら自身も“正解”なんて分かっちゃいないだろうさ」
多少の皮肉を込めて俺は言う。

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フレアリアの王女,アイシス姫の成人の式典が近づく中,下級労働者たちの反体制組織“群弓(アローズ)”によるテロが勃発する.犯行には巨大魔導兵器である「虚神(ゴーレム)」の使用が疑われた.対虚神(ゴーレム)用兵器「虚人(ドーレム)」であるスピネルのマスター,エルクは,式典本番での大規模テロを防ぐため仲間たちと調査を行う.
血統と魔法,ふたつを持てる者が,持たざる者を支配するよう作り上げられてきた社会制度.それを強大な力と魔法でどのように破壊するか.「世界を殺す」ことを宿願とする皇子の「叛逆革命戦記」第二巻.派手な道具立てに対してストーリーは案外地味ではある.しかし着実に段階を踏んでゆく組み立てと,覚悟を積み重ねていく過程は丁寧で好感が持てる.ハーレムものでありながらキャラクターが弱いのは「銃皇無尽のファフニール」と同じ短所ではある.「〜ファフニール」でもそうだけど,誂えたようなハーレムを描くのはあまり得意ではないのかな.