大泉貴 『詐欺師キッドの英雄演武 1』 (オーバーラップ文庫)

詐欺師キッドの英雄演武 1 (オーバーラップ文庫)

詐欺師キッドの英雄演武 1 (オーバーラップ文庫)

「わたしにとってのキッド様は英雄です。ガンクードの魂を受け継いだ英雄なんです。詐欺師であるはずがありません」
「……もちろんです、決まってるではありませんか」
おれは平然と答えてみせる。嘘をつくのに、罪悪感はない。おれにとって嘘は生きることにも等しい。
観客の望む姿になる、それこそが詐欺師のあるべき姿だ。

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文明が発達し,神話が廃れつつある時代.詐欺師のキッドは神話の英雄ガンクードの末裔を騙り,貴族から金銭をだまし取っていた.ある日,仕事帰りのキッドは,ある少女に協力を依頼される.これが,詐欺師が世界を統べる七種族の戦い,“神儀演武”に巻き込まれるはじまりだった.
英雄の血を騙っていたら本当に英雄の役割を押し付けられてしまったでござる.“『ギャラクシー・クエスト』および、『サボテン・ブラザーズ』を下敷きにして”書かれたという,少年漫画のように活き活きとしたピカレスク・ロマン(?).偽者が本当の騒動に巻き込まれるという,王道ではあるけれどストレスのたまりがちなストーリーを,ストレスのないスカッとした活劇に仕上げているのは見事.これぞエンターテイメント,という小説になっている.詐欺師が主人公だけあって,洒落た語り口もかっこ良く効いている.良いものでした.