そろそろ本格的に飽きるかもの姿勢で読み始めたんだけど,或いはそういう気構えでいたのが逆に良かったのか,予想以上に楽しく読めた.あれだ,マンネリな日常の中に,ふと小さな変化を見つけると,見慣れたはずの周りの景色まで新鮮に見えることがありませんか? ってやつ.比喩例示が絶望的に下手糞な自分が憎い.つまり単にバカ日常をループさせているだけの小説ではなく,桜くんたちの日常はちょっとずつ亀の歩みで変化なり進歩なりをしているんですよ,ということが言いたかった.作者(と編集者か)も成長してるんだろうけど,そのへんの織り込み方は上手くなっていると思った.ラスト2話では不覚にも爽やかな感動を覚えて,軽い敗北感に打ちのめされたものさ.ただ個人的な好みとしては,南さんにはあーいうキャラクターにはなってほしくなかったが.