おかゆまさき ほか 『撲殺天使ドクロちゃんです』 (電撃文庫)

(注:以下で記述する「作家」はすべておかゆまさき以外の8人を指しています)
執筆陣は「既刊すべてを読んでいる作家」「1,2冊程度読んだ作家」「読んだこと無い作家」と私的には綺麗に分かれていた.最初の3人に関しては未読だったので「なるほどつまりお題をもとに作家の持ち味を出すよう課されているんだろうなたぶん」と冷静に読んでいたのだけれど,ハセガワケイスケで吹いた.
読んだことのある作家に関しては,各々の持ち芸*1を存分に発揮して書いている印象で楽しい.特に谷川流が良かった.往年の筒井康隆で似たようなのを読んだ記憶があるんだけど,なんだったっけ.
反面,未読の作家に関してはどう読んだらいいのか正直よくわからなかった.つまらないということでなく,読みながら「作家のフィールド」みたいなものが掴みきれなかったのが原因.一般的な二次創作に比べるとかなり作家寄り,かつ尺が短いために細かな説明は省かれぎみなので,ドクロちゃんがどうというよりその作家を楽しめるか,というかそもそもその作家に対する予備知識があるかどうかがこの本を読むうえでの重要な前提になっていると感じた.
というわけでこの本を100%堪能するには意外と高いハードルを越えないといけないと思う.けど,トリビュートとはそーいうものだと言われれば,まあそうかなと納得はしているのでした.

*1:作風,というよりこっちのほうがしっくりくる