長谷敏司 『円環少女《サークリッドガール》 ⑤魔導師たちの迷宮』 (角川スニーカー文庫)

やあ相変わらず読みにくい.テキストそのものは勿論,文章の力の配分があんまよくないのが原因かね.日常と魔法理論の説明と後半のクーデターへ至る背景と,その他もろもろが同じような力の入れ具合.書くのが大変だったんじゃと思うが読むほうも疲れた.
新たに登場した設定のあれこれは普通に読む分には荒唐無稽だと思う(舞台が身近なだけに強くそう感じるのかも)のだけど,実際に読んでる最中はさほど気にならず楽しめた.上で書いたようにテキスト力(ちから)が全体に半端でなく漲っているためか,常に一定の緊張感を持って読まされたのが良かったように思う.重厚,ってのともまた違う気がするけど,最近は本当にライトなものしか読んでなかった身には新鮮な気分.
ロリでサドでデレなメイゼルは出番がやや少なめだったけど,セリフや行動には漏れなくニヤけさせられた.単にサドエロやっているだけでなく,その多くないやり取りの中で成熟した仲と信頼をうかがわせる描写をしており,上手いなあと溜め息.
ラストはこれまた凄い引き.あとがきから推測するに,続きが出るのは半年後くらい? 焦らされるなあ.拗れた物語がどう決着するのか楽しみに待ちます.