- 作者: ベンジャミン野口,野中英次
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/05
- メディア: コミック
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3点リーダもエクスクラメーションマーク*1も排除し,終始淡々としたテキストの使い方が見事すぎる.あの独特の間や場面転換など,テキストオンリーでほぼ完全にのなーの作風をトレースしているのが凄い.原作を完璧に理解し,テキストで再現する方法を心得た上で笑いをとることも忘れない姿勢が伝わってくる.舌を巻くと同時に凄く好感が持てた.このテキスト芸の面白さは,小説の面白さというよりはかつて数多くあったテキストサイトに似た味わいといったほうが伝わりやすいかも.テキストサイトブームが峠に差し掛かりつつある時期にネットの面白さを知った身としてはそういう意味でも感慨深かった.ノリツッコミの面白さや言葉のセンスもまた絶妙.「うちはツッコミ一族か」をはじめとした言葉のチョイスも原作者に劣らない.下手したら原作者を一部超えている.
てことで今年上半期のベストノベライズはこれで決まり.ノベライズ自体10冊も読んでなかったと思うけどな.原作者についての予備知識がまったく無いひとや原作が嫌いなひとが読んで楽しめるかどうかはちょっと分からんのだけど,それ以外のひとなら一度は読んでみて損は無いはず.軽く検索した感じ,どうやらぜんぜん読まれてないっぽいので私だけでも手放しで褒めておきます.つーかこの検索結果は無いよねぇ(2007年6月8日現在).
*1:こっちは1,2箇所あったかも