白倉由美 『やっぱりおおきくなりません』 (徳間デュアル文庫)

やっぱりおおきくなりません (徳間デュアル文庫)

やっぱりおおきくなりません (徳間デュアル文庫)

中年の小説家と三十七歳の女子大生の少し不思議な日常.視点を月哉から麻巳美に移して前作の二年後からを描く.前作『おおきくなりません』のようなひとを選びそうな麻巳美の奇行描写は減少.良くも悪くも広く受け入れられそうな「大人の成長」ものとなってます.大人だからこそ選べる「おおきくならない」と「おおきくなる」の二択の貴重さと,それでもやっぱり「おおきく」なることの持つ意味合いが描かれる.ただ座っているだけで真っ直ぐ「おおきく」なれるわけじゃないのは大人も子どももおんなじなんだぜ.
どこかヘンで優しいひとたち,そして女性作家の一人称ということもあってか『食卓にビールを』に似通った雰囲気がどこかある.ラノベ界隈での感想をほとんど見かけないけどもっと読まれてもいいんじゃないかと思った.