結城充考 『奇蹟の表現III 竜』 (電撃文庫)

奇蹟の表現〈3〉竜(ドラゴン) (電撃文庫)

奇蹟の表現〈3〉竜(ドラゴン) (電撃文庫)

不審なサイボーグの死体が街中で見つかった.捜査の過程で『ドラゴン』の名を持つ男が浮かび上がる.それと前後してドラゴンのようなサイボーグが現れ,街を無秩序に破壊しはじめる.
元ヤクザのサイボーグと孤児の少女のハードボイルド.2 巻からかなり間が空いたため細かい部分は正直よく覚えてなかったのは私の責任.というのを念頭に置いて.イノシシ頭の中年サイボーグ・シマを中心に進められる話は落ち着いていて,どこが悪いというわけでもないんだけどあまりにも地味だよなあ.ヒロインたるナツの出番が少ない,というかシマとの交流が今回かなり少ないのもストーリーの地味さに拍車をかけていた.ボロボロの体を引きずって奮闘するシマの痛々しい姿は強く印象に残るものの,息苦しさばかりが勝っていてお話として楽しいかと訊かれるとうーん,と.