仮名堂アレ 『コピーフェイスとカウンターガール2』 (ガガガ文庫)

コピーフェイスとカウンターガール 2 (ガガガ文庫)

コピーフェイスとカウンターガール 2 (ガガガ文庫)

全員が同じ平凡な顔を持ち,全員がまったくモテない平良家.この閉塞は何某かの呪いに違いない,純粋なキスによって解けるに違いないと(なぜか)信じる一族に振り回される高校生平良良平の青春.
面白かった.一巻ですでに手遅れ気味だったルサンチマンはさらによじれて大変なことに.これはひょっとしてギャg……いや,マジ……なのか……? と首をひねることが何度あったことか.容姿は関係ない関係ないといいながらイベントの名前はあくまでも「イケメンコンテスト」だとか,投げられっぱなしの公平さんとか.
それにしても「同じ顔の人間がたくさん」というわりとどうでも良さそうな設定がこんなに生きるとは思わなかった.自分と同じ顔をした人間たちが目の前でモテたいモテたいとチェリーズトークを繰り広げたり,構ってくれオーラを出しながらネチネチと自虐を呟くさまを想像してごらんよ.想像しただけで気が滅入る.感情はよじれているし表現もアレだけど言いたいことはものっそ素直で分かりやすいのもたちが悪い.まあ自己嫌悪とか近親憎悪に近いものには違いないんだけどさ.昔の滝本竜彦やデビュー当時の佐藤友哉はまだ可愛かったんだと思える.優しく抱きしめてあげたほうがいいのかもしれないと思い始めてきた私がいるよ.