- 作者: ポール・プロイス,小隅黎,久志本克己
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1983/10
- メディア: 文庫
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うーむ.1980 年刊行(邦訳は 1983 年)とはいえ,同時代で名を残している作家に比べると格段に古くさい.電話交換手のロボット,紅茶のサーモ・パックほか,それらしいアイテムは出てくるんだけど,そこにあるだけといった感じ.イメージが広がらない.ロストフューチャーと都合良く呼べないこともないけどそれにしても…….とすっきりしないまま最後まで読み,訳者(久志本克己)解説まで読んだところで思わずああっと膝を打ち,ようやく深く納得した.
プロイスの方向性ははっきりとしているようだ。プロイスの SF は、“古き良き SF”の復活ではなく、“映像 SF”の文字化なのだ。
天国への門 (ハヤカワ文庫 SF 533) - はてなキーワード
スター・ウォーズが出て、“映像 SF”の分野が確立された。これこそプロイスの出てきた背景である。スター・ウォーズがなかったら、こういう形の“映像 SF”の文字化は成立し得なかっただろう。読者が映像のイメージをつかみそこねただろうから。
B 級 SF 映画を「見たまま」文字化したら確かにこんな感じになるかもしれないなー.四半世紀以上経った現在でも似た事例はあるよな.原作を見たまま忠実に書いた(文字起こしした)結果,小説としてはまったく魅力のなくなったノベライズとかとかとか.ひとは過ちを繰り返すのか…….