陸凡鳥 『RIDEBACK ─キャノンボール・ラン─』 (ガガガ文庫)

2021 年晩冬.尾形琳は武蔵野文芸大学のライドバック部に所属する女子大生.前年 9 月の全日本ライドバックグランプリでも入賞を果たすなど,充実した学生生活を送っていた.そんなある日,ライドバック部員・内田すずりの姉あゆみが暴走族に因縁をつけられ拉致されるという事件が起こる.暴走集団アビテーツのボス,キャノンボールと琳のあゆみを賭けてのガチ勝負,その裏で動くものとは.
カサハラテツロー原作・イラストのノベライズは非常に手堅いレースものに仕上がっている.ノベライズにありがちなぎこちなさはかなり少ないのはいいのだけれど,あまりに手堅すぎで原作未読未見の自分には見るところは少なかった.しかし原作者あとがきと著者あとがきを読んだ感じ,原作はすごく面白そうではありませんか.原作からこの小説に至る換骨奪胎がどのようになされたのか,すごく気になった.「ありえたかもしれない“もうひとつの『RIDEBACK』”」を原作のファンがどう受け止めるか,とりあえず聞いてみたいな,と.