木村航 『マジカルパンプキン44キロ』 (メガミ文庫)

マジカルパンプキン44キロ (メガミ文庫)

マジカルパンプキン44キロ (メガミ文庫)

「あなたには未来が見えるのかも。私みたいに迷わないから」
小太郎くんはわずかに目を逸らした。
「かもな。オレはオレだ。でも、だったらなおさら未来なんか見たって意味ねーよ」
視線が戻ってくる。私を捕らえて、ぐっと踏み込んでくる目力。
「自分の背中を追いかけたってつまんねーもん」

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小学 4 年生の千草は 155 センチ 50 キロの大柄な体格がコンプレックスの気弱な女の子.クラスメイトの小太郎に淡い恋心を抱いていたものの告白なんか出来るはずもない.そんなある日,千草は両親の都合での転校が決まる.転校まであと一ヶ月,その日はちょうどハロウィンフェスタの翌日.フェスタに向けて学校で千草が丹念に育てていた巨大カボチャ,ダイエットを頑張ってそれより軽くなれたら私,小太郎くんに想いを伝えてもらうんだ.
おまじないとダイエットと片想い.「ミラクルチロル44キロ」*1の後日談.悪魔が出てくるのは同様,だけど全体的にドライでビターだった「チロル」と比べるとかなりストレートないい話に仕上がっている.ことあるごとに「だいちょぶ」(東北なまりらしい)と励まし合って前へと進む裏表のない小学生たちの行動は素直に楽しい.あと小学 4 年生には見えないナイスガイっぷりを全編にわたって発揮する小太郎にキュンキュンした.後日談といってもストーリー的には蛇足だと思うしインパクトもさほどではないのだけれど,前作が好きだったのであれば読んで損はしないはず.

*1:「Aパート」感想:d:id:kanadai:20081201#1228147006 「Bパート」感想:d:id:kanadai:20090131#1233417775