- 作者: 天野邊
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2009/10/20
- メディア: 単行本
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第 10 回日本SF新人賞受賞作.クジラ社会のかたちと盗作騒動の顛末を描いた第一章「ある童話」.民族主義から発生したふたつのプロトコルの戦い「最終戦争」.人類とクジラのファーストコンタクトから,完全プロトコルが導く遠い遠い未来の出来事,「ジンテーゼ」の三つの章から成る遠大な物語.クジラ同士のコミュニケーションに既存のネットワーク用語をあてはめて表現する試みは面白いと思うんだけど,いかんせん読みにくいうえにイメージが広がらない.既存のネットワークの枠組みに,包括的な「コミュニケーション」をきっちり当てはめようとしすぎたために,窮屈な印象が強くなってしまったのではないかと思うがどうか.転じて最終章のスケールと時間の加速は良くも悪くも凄まじかったのだけど.それにしても,天文学的な時間の経過を表現するのにわざわざ「年」を使うのはなんでなんだろう.