新井円侍 『シュガーダーク 埋められた闇と少女』 (スニーカー文庫)

──自分があの怪物の存在に衝撃を受けたように。
──ここでずっと暮らしてきた彼女は、あの怪物が存在しない世界があることに衝撃を受けているのだ。

シュガーダーク 埋められた闇と少女 (角川スニーカー文庫) - はてなキーワード

上官殺しの冤罪を着せられ囚人オリッド五七二二号となった塹壕掘りの『戦場モグラ』ムオル.死ぬまで穴を掘り続けるべく連行されてきた共同霊園で彼は儚げな少女メリアと出会い,やがてこの世界の有り様を知ることになる.
第 14 回スニーカー大賞・大賞受賞作.ハルヒ以来 6 年ぶりに出た大賞ということで大々的に売り出された様子.……なんだけど,どうも合わなかった.少女メリアは感情が乏しいだけならともかくあまりに芯が無い.そんな少女と,身近にぞんざい*1に置かれた生/死との組み合わせで動くお話はものすごく人形遊び的というか,少年の頭の中の願望のみで出来上がった箱庭的世界というか.文字通りの意味で気持ちが悪い.個人的には「planetarian」を読んだときと同じ種類の気持ち悪さを感じた.ファンタジー風の世界観は確かに魅力的で面白いとは思うんだけど,この物語はちと好きになれそうにないなってのが正直.

*1:ぞんざいであることは悪いとは思わない