榊一郎 『世界で一番優しい機械 〜SOFT MACHINE〜』 (スクウェア・エニックス)

「まあだから、ぱっと見た目に『生きてる』とか『心が在る』という風に見えなくても、ひょっとしたらこちら側はわからないだけで、向こう側は私達を見ているかもしれないじゃないですか」

世界で一番優しい機械 ~SOFT MACHINE~ (EXノベルズ) - はてなキーワード

総合病院の管理コンピュータ用として開発された最新鋭の人工知能キャロル.心を持ちうるはずのない人工知能にも関わらず,自我の芽生えた“彼女”の病院に収容されたのは,某国の生体実験によって植物状態となった,心のない少女だった.
私の初榊一郎.テクノロジーが高度に発達した近未来が舞台だと思うのだけど,技術面・社会面で全体的に詰めの甘さが目立つなあ.メインテーマであるところの「心」の在り方も深く突っ込んだ議論はせず,一般論に近い表層的な問題をさらっとなぞっただけに留まっている.まとまってはいるんだけど,最後まで読んでもすっきりしないし,どっちつかずのいやなまとまり方だなぁ,と.